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文豪が住んだ部屋

ひたすらパソコンに向かって企画書や原稿を書く、
石のような時間が多い僕にとって、
ふと目を上げたときに目に飛び込んでくる景色は、
とても大事です。
それが一瞬の深呼吸になるからです。

僕にはその理想とする景色があって、
それはデスクの左側に外の風景を切り取るように大きめの窓があり、
その窓は南東向き。つまり午前中光が入るイメージ。
その窓に切り取られる景色と言うのは、
常緑樹の木立が生い茂り、その隙間はるか向こうに海が見える、
というヤツである。

いいに決まっているよ!
でも、そういう部屋ってなかなかないんです。

いま僕が借りている勝浦のデスクからの風景というと、これ。

RIMG2516_convert_20140705100818.jpg

窓ではなくて玄関だけど、左側に田畑の風景が広がり、
ふと目を上げると緑が飛び込んできてそれはそれはいいのですが、
東側がすぐ山なので、朝日が入らない。
デスクから玄関までの距離がある。
なおかつ玄関なので開けっ放しにするわけにはいかず、
夜などは閉めるのだが、そうするとまっくらで、
理想の部屋とは程遠くなってしまう。
だから、建築雑誌や住宅雑誌を眺めて理想の部屋をみつけると、
それで満足したりしちゃっているのですが、
このたびの山陰・山陽の旅で、二人の文豪の住んでいた部屋を見て、
改めてデスクと窓の関係の、理屈抜きのすばらしさに出会いました。

これは、松江にある、小泉八雲の旧住居です。

RIMG2174_convert_20140705095310.jpg

執筆活動の場所は右奥のデスクだったようで、
デスクはうっそうとした庭に面していました。
この反対側には立派な枯山水の庭もあったのですが、
彼はこの家を一目で気に入り、ここを住みかとしたようです。
デスクと椅子の関係を良く見てください。
椅子に比べてデスクが高くないですか?
これは彼が極度に目が悪かったためで、
目と原稿用紙との距離を近づけて書きやすくするために、
オリジナルで作ったデスクのようです。

おっ、そういえば僕の机は四国の西条市でみつけた、
神代欅の一枚板を、オリジナルで組み立てたもの。
注文から届くまで3カ月以上もかかり、
フムフム、そのへんのこだわりは似ておるではないか。

そして次は、尾道の志賀直哉の旧住居です。

RIMG2443_convert_20140705095533.jpg

長屋の一番奥の部屋、広さにすると4畳半程度でしょうか。
障子をあけると庭の樹木と瀬戸内の青い海と、さらにその先に島々が、
ミルフィーユのように重なり遠近を成す。
ここであの『暗夜行路』が生まれたようです。

正直、これ!って感じでした。

畳だとぎっくり腰の僕にはつらいけど、
手を伸ばせば必要なものが届く狭さと、
眼下に広がる樹木、海、島。
会議室とやらが死ぬほど嫌いな僕にとって、
大勢を拒否するようなこういう個の空間は理想の仕事部屋かもしれない。

で、ふと勝浦の今の部屋と比べてわかったのですが、
小泉八雲の部屋も志賀直哉の部屋も、
外と内をうまく対比させて光のある風景を取り入れているんですね。
”陰翳礼讃”ってヤツです。
外の明るさをまるごといただきます!
暗いのを消します!
ではなくて、暗いのを活かしてこそ外の明るさを際立たせる。
じゃあ実際原稿用紙に向かった時どうなんじゃ?
というと、そりゃきっと暗くて目には良くない。
でも、その手元だけを照らす明かりがまた
頭の中を”陰翳”を浮き彫りにするのであって、
暗い中にこそある光を描きだす作品が生まれてくる。

ちょっとそりゃ書きすぎじゃない?
と思うかも知れませんが、
事実、暗い部屋で手元のライトひとつで、
ウイスキーなんぞをちびりちびりやりながら企画を考えていると、
発想が際立ってくるのがわかるんです。
いや、これは僕の企画論かもしれないけれど、
こころに響く企画やアイデアって、
暗闇から見えてくる光なんです。

あ~、ほんと瀬戸内の島あたりで、
誰に邪魔されることなく、ひとり暮らしてみたい。
「今日の夕方、時間あります?打合せしたいんですが・・・」
「いま瀬戸内のアトリエで執筆中です。
来週にでもこちらで打合せしませんか?」
なんて言ってみたいけど、
二度と仕事こなくなるだろうな。。。

そうなってもいいときになったら、そうしよう!





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